高山捻子製作所 ”免震ナット”
梅雨の時期が訪れ蒸し暑さが続く日々の中、e-yan通信部は暑さに負けることなく精力的に活動しています!!!
今回の取材先は、東大阪で免震用の捻子を製作しておられる「高山捻子製作所」です。
取材を通じて東大阪が「モノづくりのまち」だと呼ばれる所以を感じることができた気がします。
ではここで、この記事を読んでいる方に質問です。
実際「モノづくりのまち東大阪」を訪れたことはありますか?
免震用の捻子(大きいもので長さが30cm)を製作する過程に計り知れない苦労があった、、、、、、。
私たちe-yan通信部取材メンバーも、取材をするまでは東大阪の工場を訪れたことがありませんでした。
実際に訪れてみるとそこには、よく使い込まれた大きな機械と油のにおい。
薄暗い室内に並ぶ見なれない装置と独特の雰囲気はまるで舞台のセットのようでワクワクしました。
この記事を読むと「モノづくり」の凄味を知ることが出来る!!!
終始笑顔でお話いただいた、高山製作所代表の高山秀盛さん
「阪神淡路大震災以降、免震用のナット製作を依頼されて、本格的につくり始めたんやけど、これがまた難しくてなぁ。」
親しみのある関西弁でお話を聞かせてくれたのが、高山捻子製作所の現代表である高山秀盛さん。
高山さんはお父さんの作業を中学から手伝い、現在に至っています。
今回の取材では、免震用のナットづくりなど、完成するまでの困難と苦労を取材していく中で聞かせていただきました。
補足:「ナット」とは機械などの組立に使用される締結部品の一つ。中央にめねじ(雌ネジ)と呼ばれる開口部が切ってあり、ボルトなどのおねじ(雄ネジ)部品と組合わせて使用される。(Wikipediaより)
― 現在は一日にどれくらいの数の捻子を製作されているのですか?
高山さん:
いまは一日で大体400本やねぇ。
朝の8時から夜の8時まで、穴をあける作業や捻子を切断したりする作業を同時進行で行ってんねん。
― 現在は、免震用のナットが全体の製作の割合を多く占めているのですか?
高山さん:
そうやねぇ。
もうほとんどが免震用のナットが多いなぁ。
免震用をつくる前までは、みんなの知ってる小さなナットもつくっててんけどなぁ。
安い輸入品のナットが多いからいくら作っても割に合わん。
だから今はもう作ってへんねん。
― 免震用のナットを製作されるまでに苦労したことはありますか?
高山さん:
そりゃぁ、もういっぱいあったよ。
製作に必要な機械とかの道具もすべて揃えやなあかんかったし、仕事を受けながら研究せなあかんかった。
始めてからの1年間はほんまに試行錯誤の1年やった。
あと、機械の設定も済んで免震用のナットをつくる事はできたけど、その当時はまだまだ社会に「免震装置」っていうのが知れ渡ってなかったからなぁ。
需要がかなり少なかった。
― 需要が広がる要因となったのは何ですか?
高山さん:
国が法律をつくってからやなぁ。
高いビルや大きな病院、重要文化財を展示している施設の建築に免震装置が取り付けらるようになって需要が増えてったなぁ。
首相官邸にもうちのナットが使われてんねんでぇ。
― 免震用ナットづくりの工夫とかはありますか?
高山さん:
それは教えられへんなぁ(笑)
製作当時は仕事終わってシャッター閉めて研究しとったからなぁ。
苦労してんで。
あの時は、、
― 高山捻子製作所にとって免震用のナットとは何ですか?
高山さん:
うちの製作所の代表やね。
後記
捻子について専門知識がない私たちに、丁寧にわかりやすく教えていただいた高山さん。
その人柄にもどこか魅かれるところがありました。
親子二人で経営している高山捻子製作所ですが、そこには東大阪の“モノづくり”の魂が感じられました。
東大阪の町工場で作られた製品が全国へと広まり、私たちの足元を支えてくれています。
もしかすると、あなたが今いるその場所にも免震ナットが使用されているかもしれません。
東大阪で作られたものが私たちの安全を守ってくれていることはおそらくほとんどの人が知らないでしょう。
だからこそ、この記事を通して東大阪の”モノづくり”に関心を持ってもらいたいと思っています。
生涯、捻子製作を力強く宣言した高山さんのこれからのご活躍に期待です!!!
取材を終えて
松谷:
とても素晴らしい経験をさせていただきました。
”モノづくり”の現場を見ること、実際にそこで働く人にお話を聞くことで、本当の”モノづくり”を知ることができた気がします。
ナットのように、目には見えないけれど、社会を支えている。
そのような人間になりたいと思いました。
丸田:
今回、高山捻子さんを取材して、やっぱり東大阪は”モノづくりのまち”だと感じました。
見た目は小さな町工場ですが、そこからは日本さらには世界にまで誇れる”モノ”が製造されていて、驚きました。
免震ナットというものは、パーツにひとつに過ぎないかもしれませんが、そのひとつが私たちの安全を守るものだと感じさせられました。
取材を受けていただいた高山捻子さんには取材を受けてくださった感謝とともに、日本を地震に負けない国へとするためにこれからも免震ナットを作り続けてほしいと思います。
中西:
今回、高山捻子製作所に訪れてみて改めて、”モノづくり”のあたたかさを感じました。
普段目に見えないもの、何気なく使われているものが私たちの生活を大きく支えてくれていることを肌で感じました。
お話を聞くことで、1つのナットから世界を救う力を作り出す”モノづくり”の素晴らしさを、高山さんに教えていただきました。
貴重な時間を咲いて取材をさせていただき、ありがとうございました!
取材先:
高山捻子製作所(大阪府東大阪市渋川町1-12-3)
お問い合わせ: 06-6722-0622
(東大阪バーチャルシティ会員企業)
取材メンバー
松谷一輝 (近畿大学 総合社会学部 3年)
丸田邦英 (近畿大学 総合社会学部 3年)
中西涼 (近畿大学 総合社会学部 2年)