挑戦なくして前進なし~時代の変化を乗り越えた酒屋さん~
こんにちは、e-yan通信部です。
今回は、お米とお酒の専門店である「ドリーム東大阪店」さんに取材に行きました。
お店は宝持の交差点の近くにあり、私たちが通う近畿大学からも徒歩で行ける距離です。
「ドリーム東大阪店」さんは、全国80店舗のフランチャイズ本部が経営しているお店で、1階が酒屋さん、2階がフランチャイズ本部の事務所となっています。
店長である松藤さんと、マネージャーである井上さんにお話を伺いました。
e-yan通信部:
「ドリーム東大阪店」はいつから開業されているのですか?
井上さん:
平成5年ですね。ですから23年前です。
元々は俊徳道の方で酒屋をやってたんですけど、23年前にここに土地を買って店を建てて、その時代の走りだったお酒のディスカウントを始めました。
それまでお酒というのは定価販売だったんです。業界が酒類販売免許制だったんですね。
開店に至るまで
当時、酒屋というのは販売の際の規制や暗黙のルールなどが今よりもずっと厳しく、お酒をディスカウントして売るというのはもってのほかでした。
井上さんも行政機関や組合との関係の中で、なかなか販売に至るまでが厳しい道のりだったそうです。
井上さん:
組合からの圧力で問屋から商品が卸せなかったので、2tトラックを1台買って、自ら夜中に商品を買いに他府県の問屋にまで行ってましたね。
e-yan通信部:
当時は今と全く違う体制だったんですね。それって黒字にはならないのでは?
井上さん:
そうそう。最初はね。
でもそれを上回るくらいのお客さんが来てくれたから。2、3年で取り戻せました。
こだわりの米
e-yan通信部:
ドリームさんは米も扱っていますがドリームの米にはどんな特徴があるのですか?
松藤さん:
ドリームがすすめているのは白米と玄米の中間である分づき米です。
分づき米はおいしい白米と栄養が豊富な玄米のいいとこどりができるお米です。
米の栄養価は精米して白米にすることで全体の5%ほどになってしまいます。
私たちは普段栄養の95%が含まれている糠を捨ててしまっていることになります。
うちの店舗では、分づき米は5分づき(やや玄米に近い)や7分づき(やや白米に近い)など様々な種類が選べるので自分の好みや目的に合わせて分づきの方法を選ぶこともできますよ。
井上さん:
粕っていう漢字あるでしょ?
これってこめへんに白なんですよ。つまり白米は言葉は悪いけどカスなんですわ。
一方で糠はこめへんに康って書くんです。つまり糠は私たちの健康を助けてくれるんですよ。
e-yan通信部:
それを聞くと効率よく栄養素が取れる分づき米は、毎日食べるお米に理想的ですね。
井上さん:
米自体も産地直送で生産者の顔が見えるお米を選んでいます。
例えば同じ近江の米でも農協にまとめて集荷されれば、井上が作った米も田中さんが作った米も同じ『近江米』になってしまうんですよ。
私はこうした生産者の顔が見えない米より生産者の顔がわかる米にこだわっています。
そのほうが生産者の米への思い入れも強いと思うので、消費者にどう評価してもらえるかとかそういうことを考えてくれています。
ドリーム東大阪店の挑戦
e-yan通信部:
さきほど、競合相手の話がありましたが、ドリームさんが競合相手と戦う上で大事にしていることは何ですか?
井上さん:
殻を破るっていうのは大事なことやと思いますね。
それはかなりのリスクも背負わないとダメだし、やった以上はやり続けなければいけないけど、それが永遠に続くわけでもない。
次なる変化に対応できなかったら自分も埋没してしまう。
だから安さで成功しても安さで潰されるという宿命があるんです。
e-yan通信部:
殻を破るということは、うまくいくかどうか分からないけれど、器を広げるきっかけになるのですね。
井上さん:
新しいことをすると他の競合相手もそれに合わせてくるんです。
すると横一列になった時にそれは何の意味もなさなくなります。
それをもう一回突出する必要がある。そのために重要になるのが付加価値なんです。
例えばギフト品の販売ですね。
近くのドラッグチェーンで常飲酒を買った後、ウチにきて贈り物にするための酒を買ってくれるお客さんもいるんですよ。
ウチの店舗売り上げはこのギフト用品に助けられていますね。また包装やのし紙の無料サービスも行っています。
商品の無料配送サービスもドラッグチェーンではなく地域の酒屋にしか提供できないサービスですね。
どんなサービスをするにせよ、まずは自分の目の前のお客さんの要望に応えるべきことに対応していけば、必ずお客さんは支持してくれるんです。
やっぱり自分達の立ち位置をお客さんの立場で見たときに、果たしてこの店はどう見えているのかというのを常にチェックしながら研鑽していくんです。
だから答えはお客さんにあります。
e-yan通信部:
どんな利益を得ることができるのか、どんな歓びや楽しみを得ることができるのか、付加価値を付けることによって、価格がほかのお店より高くてもお客さんに満足してもらえますね。
「ドリーム東大阪店」が23年間続いているのは、これまでたどってきた多くの困難な状況をどのようにすれば切りぬけていくことができるのかということで、日々試行錯誤をされてきた成果なんですね。
今後の展開について
松藤さん:
自分の中でまだ何もまとまったものは無いですけど、僕自身、店長の名をいただいてる以上、この店をどう盛り上げていくかっていうのが第一です。
井上マネージャーも申した通り、目の前のお客さんが一番大事なんで、それをコツコツとやっていこうとは思ってます。
今は井上マネージャーが横で色々と手伝ってくれてますけど、いずれは頼らずに自分の考えでアルバイト雇ったり、経営の面でも自分でお金を動かしたりしたいですね。
井上さん:
いずれは店舗としては全て松藤に任せようと思っているので、あとは自分でやれって形にします。なので生かすも潰すも本人次第です。
みなさんが5年後くらいにここに来て頂いて、潰れてたら松藤のせいってことですね(笑)
e-yan通信部:
井上さんから松藤さんへ、バトンが渡しのタイミングを迎えているのですね。
5年後、東大阪に遊びに来た際はお酒を買いに訪れたいです。
最後に学生に向けてのメッセージなどあればお願いします。
松藤さん:
そうですね。これから就職活動もあったりすると思いますけど、何でもいいからやってみるというのはいいと思います。
色々と挑戦してみてほしいです。
取材を終えて
田中(美):
販売されているお米は生産者の方の顔を見てるので、商品に自信を持って販売されているのがとても伝わりました。
スーパーで安く買える時代ですが、ドリームさんのように量より質にこだわったものを置いているお店は食の変化が激しい今の時代に必要だと感じました。
笹部:
現代とは違う昔の色々な規制や風潮の厳しさがあった中、井上さんのそれでも突き進む力が心底すごいと思います。
強い根性と絶えない向上心はいずれ大きな結果を残してくれるという証を目の前で見た気がします。
そして、それらの結果を生まんとする精神は、井上さんから松藤さんへと受け継がれていくのだなと、松藤さんのお話しされている姿から想像できました。
田中(遊):
今回私が一番驚いたのは井上マネージャーの強さです。
記事にも少し書きましたがドリームの創業当時はそれこそ記事には書けないような事件ややり取りがたくさんあったそうです。
井上マネージャーは眠れない日々もあったなどとても苦労されていたのに今となってはそれを笑い飛ばし思い出話にしてしまっています。
これは私たちの世代にはなかなかない強さだと感じました。
こんな風に強い精神力を持つ人が生き残るのだと目が覚める思いです。
井上さんは現在はマネージャーとして25歳とまだ若い松藤店長をサポートしています。
若い世代にに自分の知恵を引き継ぎ譲ろうとする姿は経営者として模範になるのではないかと感じました。
取材先:ドリーム東大阪店
住所:東大阪市宝持4丁目14-26
Tel:06-6721-3480
Fax:06-6723-4939
ドリームクリエイトWeb:http://sakesyokomesyo.com/
ドリーム東大阪店Web:http://oisiiokome.com/
取材班:
田中美空 近畿大学 総合社会学部 3年
笹部好生 近畿大学 総合社会学部 3年
田中遊也 近畿大学 総合社会学部 3年