基本を大事に~日本一を目指す中学校~
こんにちは、e-yan通信部です。
今回私たちは東大阪市立縄手南中学校校長、日比野功先生にお話を伺いました。
日比野校長先生について
日比野校長先生は、縄手南中学校創立2年目の年から13年間勤務されていました。
その後一度転勤をされて、5年前から縄手南中学校の校長先生となって帰ってこられました。
東大阪市内にも熱心な中学校は数多くありますが、縄手南中学校は校長先生の熱心な指導の下で様々な取り組みをされています。
今回はその取り組みの一部をご紹介します。
e-yan:
縄手南中学校は今年で創立30周年を迎えられましたが、創立当初から学校を見守ってきた校長先生から見て、今と昔で変わったと感じることはありますか?
日比野校長:
生徒は変わっていないと思いますが、世間の常識は変わったと感じます。
よく「近頃の子は~」「最近の子どもは^」と耳にしますが、携帯やコンビニなどの普及によって社会が変化しているだけであって子どもは変わっていないと思います。
ただ、間違った常識も溢れているのでそこはきちんと正しいことを伝えたいと思っています。
e-yan:
間違った常識とは?
日比野校長:
例えば成人式の会場は、自分の知らない人たちが一生懸命バックで動いて作られています。
その人達に感謝を込めて、成人式の会場を出るときに「ありがとうございました」の一言を添えるのは常識だと思うんです。
そしてそういう子を見たら「こんな子たちのためなら一生懸命準備してあげなあかんな」って大人たちも思うんではないでしょうか。
なのに現実は騒動を起すといったような問題が起こる。
それを見ている大人たちも一日くらいなら良いと思っていて、それが当たり前だと思い込んでいる。
こういう間違った常識を、根本的に正しく教えていきたいと思っています。
その思いは今も昔も変わらないままです。
繩手南中学校での取り組み
モットーは「返事!あいさつ!声!ダッシュ!!」
縄手南中学校の目標や自慢は何ですか?と聞くと迷わず校長先生が答えてくださったのが、「日本一を目指していること」とおっしゃっていました。
何の日本一かというと「どこの学校よりも大きい声で気持ちの良いあいさつ・返事が出来ること」。
つまり「何事にも全力で取り組む」という意味の日本一です。
何事にも全力でやるためには人格形成が重要になってきます。
人格形成には時間がかかる物が多いですが、今すぐに誰にでもできるのは「返事!あいさつ!声!ダッシュ!!」ということで、人が在るうえでの基本やマナーを徹底しているのがこの学校の特徴であるといえます。
ダッシュの後ろに「!」が2つあるのは、ダッシュについているものと、「返事!あいさつ!声!ダッシュ!」を1つのセットとして「!」がついているからです。
部活の試合や受験などあらゆることの勝因は「一生懸命」「丁寧」「ひたむき」に取り組むことであり、少しでも妥協してしまうと大きなミスに繋がってしまいます。
日比野校長先生が元々このモットーを思いついたきっかけは、先生が教師になって3.4年した後のことでした。
野球を得意とする生徒がいつもはミスを犯さないのに、あるときにミスをしました。
その生徒のライフスタイルを見返すと、生活態度が緩んでいることに気が付きました。
人は見えないところで油断すると失敗を招くと考え、後にこのモットーが重要な要素であるという考えにたどり着いたようです。
子ども達が社会に出た時に、自分のいい加減な行動でミスをしないように、学校職員一同で人格を形成するための指導がなされています。
アドバイザリースタッフの存在
繩手南中学校は生徒だけが学ぶ場所ではなく、先生達が学ぶ機会も設けられています。
それがアドバイザリースタッフと呼ばれる外部講師を招くことです。
校長先生の繋がりから「アナウンサー」「トレーナー」「講談師」などの様々な仕事をなされている方に来てもらい、職員室の中で一緒に仕事をして雑談をしてもらうことで、先生たちのスキルを上げています。
先生達がアドバイザリースタッフとの話を通して知ったことを生徒達に伝えれば、子どもにとってもプラスになり、皆が良い影響を享受できる仕組みとなっています。
平成31年から始まる小中一貫校のモデル校
平成31年から全国で小中一貫教育が実施されることから、縄手南小学校と中学校がその先駆けとなってモデル校に選ばれました。
中学校のレベルを上げるならば小学校のレベルをあげる必要性があるという校長先生の考えが教育委員会との取り組みにおいてもいい影響を及ぼしているのではないかと思います。
私たち大学生にメッセージ
何事にも爽やかに、一生懸命・丁寧・ひたむきに取り組めば思いもよらないご縁や良いことが巡ってきます。
一生懸命してても失敗することはありますよね。
でもそれは成功のために遠回りしているだけなのでぜひ一生懸命に頑張り続けてほしいです。
日比野校長先生ありがとうございました。
感想
和田卓也
取材を通して日比野校長先生の熱い思いが伝わってきました。
職員室に入らせて頂いた時に先生方が全員立ち上がって挨拶をしてくださって、学校全体での取り組みなんだと実感しました。
僕はよく、妥協して「これでいいか」と中途半端で終わらせてしまうことがあるので、「返事!あいさつ!声!ダッシュ!!」を真似させてもらって、中途半端な部分を直せたらと思います。
森彩香
今回、校長先生にメインでお話していただいた「返事!あいさつ!声!ダッシュ!!」は人としてやって当たり前のことですが、いざ自分がちゃんと出来ていたのかと問われると、出来ていなかったということに気づかされました。
今までにも「ちゃんとあいさつをしなさい」「返事をしっかりしなさい」とは言われてきましたが、『なぜしなければいけないのか』を根本的に教えてくれる人はいなかったように思います。
学校にお邪魔した際も、全職員さんが真心のこもった気持ちの良いあいさつをして下さり、学校全体が教育理念を認識しているのだと感じました。
素晴らしい環境のもとで学校生活を送られている生徒さんがとてもうらやましく思います。
今回の取材は夕方からだったので生徒さんは下校していて、お会いすることが出来ませんでしたがまた生徒さんの様子も伺いたいと強く思いました。
当たり前のことを当たり前にできるように日頃から意識してみようと思いました。
上山華凜
実際に在校生のみなさんと触れ合う機会はありませんでしたが、日比野先生の教育論を聞いていかに「人格形成」と「教育」とが密接な関係であるということを学べました。
日比野先生に、校長先生と生徒の関係性について「生徒側からすれば校長先生は遠い存在なのでは?」という質問を行いました。
これについて日比野先生は校内の集会で自分が善い行いをしたと思った生徒にはご自身のサインボールをあげるというお話を聞きました。
サインボールをもらうために良いことをしようと思う生徒もいるらしく、日頃の教育目標が生徒たち一人一人に浸透しているのだと確信しました。
次回はぜひ、生徒さんがいる時間帯の学校にお邪魔してみたいと思いました。
取材先:東大阪市立縄手南中学校
住所:東大阪市横小路町3-12-5
電話番号:072-986-0500
Web: http://www.city.higashiosaka.lg.jp/school/nawateminami-j/
取材班:
和田卓也(近畿大学 総合社会学部 3年 心理系専攻)
潟山真依(近畿大学 総合社会学部 3年 まちづくり系専攻)
森彩香 (近畿大学 総合社会学部 2年 環境・まちづくり専攻)
上山華凜(近畿大学 総合社会学部 1年 環境・まちづくり専攻)